1951年
監督:ジョン・ヒューストン
ヘップバーンとボギーの共演ということで、当時も大ヒットしたというが、Dryden Theaterもいつになく混んでいてびっくりした。愛されてるな。
アフリカにあるドイツの植民地で宣教師をしているイギリス人兄妹の妹がヘップバーンで、船で彼らに手紙を渡しにくる粗野なカナダ人がボギー。第一次対戦の勃発を機にドイツが現地住民への迫害を強める。兄を失ったヘップバーンが、ボギーと一緒に蒸気船(アフリカの女王)に乗って、ドイツの戦艦を追いかけにいく冒険ストーリーが続く。
何度か激流の中を突っ込む場面があって、ヘップバーンが怯えるどころか興奮するのがフックになっている。ちなみに激流の場面は、ロングショットで船が激流に飲まれるのを見せつつ、スクリーンプロセスで近景処理をしているのだが、これが全然安っぽく見えない。CGがなくても、これだけで観る者は楽しめるのだが、しかしこれはヘップバーンのキャラクタリゼーションだったり、あるいは激流に遭遇する直前の間合い(弛緩させておいて、激流に遭遇したボギーのリアクションショットでエンジンをかけるという王道の)によるところが大きい。
あとは、蒸気船の狭い空間でのシーンが大半を占めるなかで、いかに画面を活気づけるか、という点においても、さまざまな工夫がなされていると思う。切り返しのショットの多くが内側から切り返されている(後頭部を手前になめる外側ではなく)のだが、ボギー、ヘップバーンそれぞれのクローズ・アップ、バストショットがそれぞれとても綺麗に撮られている。狭い船での撮影だから、実は一個一個カットを割って会話をつなぐというのは難しいのではないかと思うが。ヘップバーンがときおり傘をさす(雨傘としても日傘としても使う)が、この黒い傘がなかなか存在感があって、よく撮れている。
あまりセリフが聞き取れなかったのと、魚雷"topedo"という単語を知らなかったので、二人が何を企んでるのかわからないまま見ていた。
撮影はジャック・カーディフ。見事なカラー撮影。