16mmフィルム
監督:イエジー・スコリモフスキ
スコリモフスキについては、『エッセンシャル・キリング』以降の最近の作品しか見ていなくて、どういう作家なのかよくわかっていないのだが、これはなかなかハチャメチャな映画。不条理劇というとカフカ的な響きがあるが、そうではなく、主人公も含めて挙動が意味不明というタイプの映画だ。ただ60年代はこういう訳わかんない、ひたすら話が逸脱していくナンセンスな作品が多いと思う(レネ、ポランスキー、アントニオーニetc)。
多くのビジュアルイメージが単純に見てて面白いのだが、時々滑っているので、そういうときに「なんやねんこれ」とちょっと醒める時間帯もある。
色々あるが、人がいっぱい出てくるモブシーンはどれも破壊力がある。信号機の手前のようなところでスーツを着た大量の男達がだーっと走るというのが2回出てきて、なかなか病みつき感がある。レストランのようなところで、みんなが新聞紙を折りたたんでつくった帽子をつけながら、踊っているというより揺れているという描写も意味不明だが面白い。普通にだだっ広い空間かと思いきや、背後にいっぱい人がいる、というような場面転換も何個かある。
スキージャンプ台をスーツケースに乗って下っていくところとか、どうやって撮ったんだろう。びっくりしてしまった。