監督: Thea Sharrock
出演:Olivia Colman, Jesse Buckley, Anjana Vasan, Timothy Spall
いかにもイギリス映画らしい、階級や品格、人種差別の問題を軽やかに扱った良質なコメディで、大いに楽しんだ。決して、これはという演出があるわけでもないが、しかし前半でジェシー・バックリーが留置所に入れられたあと、決して留置所の中にカメラが置かれないという意志のある演出に見られるように、視点に自覚的な作品作りには好感が持てるし、こうした堅実な演出ゆえに芸達者な俳優陣のパフォーマンスもそのまま楽しむことができる。終盤の手紙をめぐるクライマックスもうまくさばけている。ジェシー・バックリーはいくつかの作品をテレビ画面で断片的に見たことがあっただけだったのだが、いま一番魅力的な俳優ではないだろうか。作品の構成上、後半から物語の重心がオリヴィア・コールマンの方に移るので出番が減ってしまうのが残念で、もっともっと彼女のパフォーマンスを見たかった。
エンパイア・オブ・ライト同様、白い砂がキラキラ光る浜辺の光景がイギリス映画ならでは。真っ白い家の数々も魅力的だし、バックリーの帽子もかっこいい。
★★★★★★★☆☆☆