アメリカ在住MD PhDの映画日記

映画を見る合間に膠原病の研究をしています

野望の系列 Advice and Consent @ Dryden Theater

監督:オットー・プレミンジャー

ウォルター・ピジョンヘンリー・フォンダチャールズ・ロートン、ドン・マレー・インガ・スヴェンソン

 

原題のAdvice and Consentというタイトルがとても重要で、大統領の権力は議会のadvice and consentを通じて発揮されるべき(逆に言えば抑制されるべき)という憲法上の用語がそのままタイトルになっている(製作された2-3年前に出版された小説が原作)。

大統領が国務長官アウトサイダーであるヘンリー・フォンダを任命しようとするが、その任命に同意するか否決するかをめぐる議会内の抗争、権謀術数を描く。はっきり言って、ところどころのセリフ、特にチャールズ・ロートンの独特のアクセントによる台詞回しなど聞き取れない部分が多数あったのだが、それでもこれだけの登場人物がいながら一切混乱がない。それぞれの議員のイメージショットというか、例えばドン・マレーであれば家の勝手口に面したリビングで電話をしている光景がとても印象的だし、ワイオミング州議員のポール・マクグラスなら秘書を何人も引き連れている様子など、非常にクリアな描き分けがなされていて、まったくセリフに依存していないのだ。

基本的には地味な会話劇が中盤まで続くが、話の軸がヘンリー・フォンダからドン・マレーの”スキャンダル”へと移行してからは、人物の出入り、動線がより激しくなり、徐々にリズムが高めていく職人芸もまったく素晴らしい。大統領が倒れ、秘書がかけつけ、もう一人の秘書が電話をかける、という場面の呼吸もまったく素晴らしい。

また、中盤のニューヨークの場面は議会の場面とはうってかわって茶目っ気たっぷりの演出で、ドン・マレーがたずねる家の住人(ラリー・タッカー)など愛すべきキャラクターだし、こういう外しの部分もさすがは『バニーレークは行方不明』のプレミンジャーだと思う。