監督:ジェフ・ニコルズ
出演:オースティン・バトラー、ジョディ・カマー、トム・ハーディ、マイク・フェイスト
インディ系で堅実に良作を作っているジェフ・ニコルズの最新作。60年代にアメリカ中西部で(文字通り)ブイブイ言わせていたbikeriders(=暴走族でいいのかしら?)を題材にした映画。
マイク・フェイストのインタビューにジョディ・カマーが応えるかたちで物語っていく構成にしている。
冒頭からいきなり喧嘩が始まったと思ったら、頭ぶん殴る直前にストップモーションになって、ジョディ・カマーの(ふざけた)ナレーションが入る、というスコセッシ感満載のグッドフェローズ物である。
とにかくこの映画の演出は、同一画面に二人が入るか入らないか、ということに尽きるという意味で正しく映画的だ。たとえば前半で、カマーの家の前にバトラーがバイクを停めて朝まで陣取る場面。カマーの彼氏が「何なんだこいつ」という感じでバトラーを睨むが、そのやりとりは全て内側の切り返し(一度だけロングショットが入るが)。で、結局朝になっても帰らないバトラーに怒り狂った彼氏がそのまま車で家を去って行ってしまう、というところも徹底して内側からの切り返しで、二人は同一画面におさまらず、そうして彼氏が去った家におもむろにバトラーが歩み寄っていくと、根負けしたカマーが待っており、二人はめでたく同一画面におさまる、という展開だ。
グッドフェローものなんで、最初はブイブイ、後半はいざこざ、決別、もとのさや、という定番コースなのだが、トム・ハーディとカマーの最後のシーンも、上述したやりとりとほぼ同じように撮られている。
バトラーとカマーが口論になり、バトラーが家を出ていく場面も内側の切り返しで処理されている。したがって、彼が戻ってきて玄関外に座っているのを見て、静かに彼の隣に座るカマーの姿は(予定調和ではあれ)感動的だ。
ちょっと中西部訛りのセリフが全っ然聞き取れず、ときどき喧嘩の内容がよくわからず、ハーディとバトラーの関係がいまいちわからなかったのだが、夜の二人の会話のシーンは異様に顔が近く、ホモセクシャルをにおわせているようにも見えたが、セリフはどうだったのか。このことと関係するかもしれないが、この映画はグッドフェローズものなのに、セックスシーンが一切なく、2時間未満で終了。潔し。
それにしても、ナショナルシアターのスチール映像でも見たことがあったが、ジョディ・カマーはちょっと美人すぎる。彼女のクローズアップに見惚れること数えきれず。
★★★★★★★☆☆☆