製作 1988年 アメリカ
監督:ブレイク・エドワーズ
Dryden Theaterの特集上映では最近、OK牧場の決闘を題材にした映画を何本か上映していて、フォードの『荒野の決闘』や、この題材を最初に映画にしたLaw and Orderという西部劇も上映された。
Sunsetは、1929年を舞台に、ガーナー演じる晩年のワイアット・アープがテクニカル・アドバイザーとしてハリウッドの撮影に招かれ、主演俳優であるトム・ミックス(ブルース・ウィリス)と親睦を深めるのだが、娼婦の殺害現場に居合わせたことで、その犯人を探すというミステリー映画になっている。娼婦の娘、怪しいハリウッドのプロデューサー(マルコム・マクダウェルが楽しそうに演じている)、そのプロデューサーに服従を強いられている妻、用心棒的な連中などなど、いかがわしい人物関係の間を二人が行き来する筋立てとその雰囲気は、ほとんど『ロング・グッドバイ』とか『チャイナタウン』などの70年代のそれだ。そしてそれが実に良くハマっているし、なおかつかなり笑える。
ブルース・ウィリスが豪邸で女性たちがパーティをしているところに現れて、そこの用心棒を女性陣が見ている前で、けちょんけちょんにぶん殴るシーンがあるのだが、タランティーノの『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』はこれを引用していたのか、もしかして。このシーンが相当に可笑しい。
ブルース・ウィリスはタンゴを披露する見せ場もあって、なかなか決まっている。
公開当時は総スカンだったらしいが、これだけ見せ場をつくって102分で収めるというのは大した芸当だろう。安心して見ていられるハリウッド映画として、今や貴重ですらある。