お目が高いって言われたい!〜アメリカ在住MD PhDの映画日記〜

映画を見る合間に膠原病の研究をしています

I'm still Here @ The Little Theater


監督:ウォルター・サレス

出演:フェルナンダ・トーレス

 

決して悪いところがあるわけでもないが、なんか普通に良い映画として終わってしまった。

序盤に家族の一人一人の様子を群像劇的に描いていく部分はとても良かった。そもそもファーストショットが最高だ(フェルナンダ・トーレスが泳ぐのをやめて振り返ると、自然光がバチッと顔に当たる。)。また、ビーチバレーやサッカーに興じる姿を描きつつ、浜辺で犬を見つけて、一人息子がそれを抱えて家に走っていく場面など、大変瑞々しい。その後もひたすら、仲の良い家族の仲の良い様子が活写されていくのだが、ある意味『ディア・ハンター』の前半みたいな感じで、これは良いじゃないかと。

また、若者4人が運転中に軍部の検問で手荒な扱いを受ける場面も、場面の急激な転換(とびきりの陽光からトンネルの暗さへ)含めてよくできている。

しかし、事態が深刻化して、話が一本化すると、映画はかえって躍動感を失ってしまったように思う。唯一、演出を感じさせたのは、ロンドンの娘から届いた手紙を家族で読んでいると、外から自動車のブレーキ音が聞こえ、手紙が中断され、ことが終わったあとに、娘の一人が改めて手紙を読み上げる、という一連の描写。

引越し直前の海辺のシーンも、あえてロングショットでさくっと処理するのだが、うーん、でもここを真正面から描いて欲しい気もしたなぁ。どうにも蛇足っぽいエピローグも含めて、ウォルター・サレスの主眼は「余波」にあるのだと思うが(ロドリゴ・ソロゴイェンのように?)、それがうまく行っているのかというと、ずいぶん通俗的なそれに落ち着いてしまっているのではないか。

ちなみに、フェルナンダ・トーレスは確かに素晴らしいと思ったが、最後に出てくる実際のユーニスさんの美貌にもぶったまげた。

娘の一人が映画を見に行く。見るのはアントニオーニの『欲望』。音響がクソだったと言っている笑

 

★★★★★★☆☆☆☆